大阪・関西万博にて3日間・全9回にわたり提供された、静岡県内の各市町が誇る食材を使った万博限定のオリジナルメニューをご紹介します。
1日目(6月6日(金)):
- 11時〜【焼津市】天然焼津ミナミマグロのタリアータ
- 14時〜【森町】遠州森町もろこしパウンドケーキ、森町スイートコーンジェラート
- 17時〜【吉田町・川根本町】吉田うなぎの至高の一口結び、川根煎茶のジェラート
2日目(6月7日(土)):
- 11時〜【浜松市・湖西市】浜名湖うなぎ 手まり仕立て
- 14時〜【富士市】田子の浦しらすと富士山麓わくわくコーンの ムース、 ほうじ茶のジェラート
- 17時〜【藤枝市】静岡そだちのローストビーフサラダ仕立て、 飛鳥山のジェラート
3日目(6月8日(日)):
- 11時〜【富士宮市】紅富士ニジマスのカルパッチョ南伊風、おおまさり( 落花生) のジェラート
- 14時〜【牧之原市】自然薯の冷製ポタージュ 押し麦とともに
- 17時〜【静岡市】駿河湾の恵み桜海老のカナッペ 本山葵のヴィネグレット
1日目(6月6日(金)):
【焼津市】天然焼津ミナミマグロのタリアータ


濃厚な味わいで鮮度抜群のミナミマグロを、表面を香ばしく炙り、和風ベースのヴィネグレットソースでさっぱりとしたサラダ仕立てにした一皿。イタリア料理でよく見られる「タリアータ」は通常牛肉を使いますが、今回はミナミマグロを用いて静岡ならではの一品に仕立てられました。
ステージには焼津市の中野弘道市長も登場し、「天然焼津ミナミマグロ」の魅力を紹介。南半球の冷たい海で育つ天然物は身が引き締まり、クセがなく濃厚な旨みが特徴。漁獲後すぐに活け締めし、マイナス60℃の超低温で凍結することで、焼津から全国へ鮮度そのままに届けられています。
試食された来場者からは「こんなに美味しいマグロは初めて」「酸味の効いたソースと野菜、マグロの相性が抜群」といった声が寄せられました。
【森町】遠州森町もろこしパウンドケーキ、森町スイートコーンジェラート


森町産の「とうもろこし」は果物よりも糖度が高く至福の甘さ。 採れたての鮮度をそのまま閉じ込めて、2種類のスイーツ「遠州森町もろこしパウンドケーキ」と「森町スイートコーンジェラート」に仕立てています。パウンドケーキの生地には粒のとうもろこしをふんだんに使用し、とうもろこしを存分に味わえる一品です。
ステージには森町の太田康雄町長が登場。遠州の小京都と呼ばれる森町の観光情報や、森町で育った美味しいとうもろこしの魅力について紹介しました。
【吉田町・川根本町】吉田うなぎの至高の一口結び、川根煎茶のジェラート

1日目の17時からは、静岡県中部に位置する榛原(はいばら)郡の2町によるコラボメニュー「吉田うなぎの至高の一口結び、川根煎茶のジェラート」が提供されました。
「吉田うなぎの至高の一口結び」は、柚子や山椒を効かせたご飯に、うなぎの蒲焼きをのせた一口サイズのおむすび。西谷シェフが「田舎の風景を意識した」と語るように、刻まれた枝豆の鮮やかな緑が映え、美しい新緑の風景を彷彿とさせます。
「川根煎茶のジェラート」には、香り高く濃厚な味わいが特徴の川根茶を贅沢に使用。煎茶のやさしい香りとほろ苦さが後を引く、大人の味わいです。お茶の風味を引き立てるために、砂糖の量を極力抑えたそうです。

PRステージでは、川根本町の薗田靖邦町長が登壇。寸又峡「夢のつり橋」や、大井川鐵道「奥大井湖上駅」など、絶景スポットを紹介しながら川根本町の魅力を伝えました。

吉田町からは田村典彦町長と、静岡うなぎ漁業協同組合の職員が登場。静岡のうなぎといえば浜名湖や三島が有名ですが、吉田町も大正時代から養鰻が盛んな地で、県内三大うなぎの名所の一つとされています。大井川水系の良質な地下水で育てられた吉田のうなぎは、くさみがなく、ふっくらとした身と深い旨みが特徴。町内には美味しいうなぎ料理を楽しめる店が多数あることから、「ぜひ吉田町に足を運んでほしい」と来場者に呼びかけました。
2日目(6月7日(土)):
11時〜【浜松市・湖西市】浜名湖うなぎ 手まり仕立て

うなぎの蒲焼の香ばしい香りが会場内に広がる中で提供されたのは、「浜名湖うなぎ 手まり仕立て」。遠州うなぎの蒲焼に、食感のアクセントとなる沢庵を加えた「たぬきむすび」を合わせた一品です。
試食された方からは「うなぎが香ばしくて、たくあんのポリポリ、揚げ玉のさくさくとした風味もある。食感の違いがあって最高」との感想も聞かれました。

ステージには浜松市の中野祐介市長と湖西市の片山彰宏副市長が登壇。浜松市の中野市長は浜名湖うなぎの魅力や地域の特色を紹介しました。湖西市については、ステージ後半で市の魅力が紹介され、両市それぞれの取り組みが伝えられました。

また、浜名湖養魚漁業協同組合からは、うなぎを育てる“土づくり”からこだわり、手間暇かけて育てていることや、新ブランド「でしこ」についての紹介も行われました。「でしこ」は、メスうなぎのみを使用した脂乗りの良さが特徴の逸品です。さらに、「浜名湖養魚漁業協同組合(はまなこ ようぎょ ぎょぎょう きょうどう くみあい)」という長い名前を5秒以内に3回言えた方に、1万円相当の「でしこ」をプレゼントする“早口言葉チャレンジ”も実施され、会場は笑いと熱気に包まれました。
14時〜【富士市】田子の浦しらすと富士山麓わくわくコーンの ムース、 ほうじ茶のジェラート
日本で唯一、日本一高い富士山と日本一深い駿河湾がつながっているまち・富士市。
1品目は「田子の浦しらすと富士山麓わくわくコーンのムース」。富士山の恩恵を受けた海の幸と山の幸を融合させた、新感覚の一品です。

2品目は「ほうじ茶のジェラート」。まろやかな旨味の中に、ほうじ茶の焙煎香がふんわりと広がる上品な味わいです。

PRステージでは、田子の浦しらすが農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に登録されていること、人気品種「わくわくコーン」を富士市独自の新しい基準で栽培していること、富士市が進める「ほうじ茶の香りがするまちづくり」などが紹介されました。


フジヤマハンターズビールの「富士のほうじ茶ビール」も提供され、富士市の多彩な食の魅力が伝わるステージとなりました。

17時〜【藤枝市】静岡そだちのローストビーフサラダ仕立て、飛鳥山のジェラート
2日目の市町メニューの締めくくりは、藤枝市のメニューでした。1品目は「静岡そだちのローストビーフ サラダ仕立て」。きめ細かく柔らかな肉質と甘みが特徴の黒毛和牛「静岡そだち」を、静岡県唯一の本みりん「飛鳥山」でマリネし、ローストビーフに仕上げました。キャロットラペや彩り豊かな野菜と共に仕立てられた一皿は、見た目にも華やか。ローストビーフは低温で丁寧に火入れされており、試食した方からは「野菜とあわせてさっぱりしているのと、お肉が柔らかいのとで最高です」とのコメントも聞かれました。


2品目の「飛鳥山のジェラート」は、純米本みりん「飛鳥山」を贅沢に使った、大人の味のジェラートです。このみりんは食後酒としても楽しむことができ、2015年のミラノ万博では、イタリアの甘口食後酒「パッシート」と間違えられて行列ができたというエピソードもあるほど。みりん本来の自然な甘みとコクが広がる、豊かな風味のデザートです。

PRステージでは、「飛鳥山」を手がける杉井酒造の日本酒「杉錦」も含む、藤枝の4つの蔵の銘酒「藤枝四傑」(喜久酔・志太泉・初亀・杉錦)の紹介も行われました。また、「サッカーのまち」ならではの話題として、「キャプテン翼」とコラボレーションした缶入り茶「茶プテン翼cha(ちゃぷてんつばちゃ)」も紹介され、ユニークなネーミングに来場者の間からは和やかな笑みがこぼれていました。
3日目(6月8日(日)):
11時〜【富士宮市】紅富士ニジマスのカルパッチョ南伊風、おおまさり( 落花生) のジェラート

3日目の市町メニューは、富士宮市の提供からスタートしました。
1品目は「紅富士(あかふじ)ニジマスのカルパッチョ南伊風」。富士山の湧水で育まれた上質な「紅富士」を野菜とともに特製ドレッシングで仕立てた一皿です。赤身が美しく、とろけるような味わいの「紅富士」。PRステージに登壇した富士宮市須藤秀忠市長も試食し「脂が乗っていて美味しい」と語りました。

富士山の湧水を活かした紅富士の養殖や、徹底した品質管理へのこだわりについても語られ、職員が通常のニジマスと「紅富士」のサイズを比較した紙模型を披露すると、来場者からは驚きの声が上がりました。
また、PRステージでは、富士宮市が日本一の高低差を持つまちであることや、少量多品種の農水産物があること、パラグライダーやラフティングなど自然を生かしたアクティビティの魅力などが紹介されました。

2品目の「おおまさりのジェラート」は、大粒でコクのある落花生「おおまさり」を使用したスイーツ。地元では落花生は茹でて食べるのが一般的ですが、今回は塩茹でと香ばしいロースト2種類でジェラートに仕立てました。ベースには朝霧高原の「ふじのくに富士山ミルク」が使用されています。

料理とあわせて、クラフトビール醸造所フジヤマハンターズビールの「ヒノキラガー・斧(よき)」の試飲も行われました。ヒノキの香りが特徴的なこのビールは、地元・柚野地区で活動する猟師でもある深澤さんによって造られています。地元の豊かな風土を生かした多彩な取り組みに、来場者も興味を寄せていました。

14時〜【牧之原市】自然薯の冷製ポタージュ 押し麦とともに
3日目の午後は、牧之原市の自然薯を使った郷土料理「とろろ汁」を現代風にアレンジしたメニューが登場しました。提供されたのは「自然薯の冷製ポタージュ 押し麦とともに」。自然薯とビーツを使ったヴィシソワーズ風のポタージュです。ビーツのピンク色と、添えられた押し麦がアクセントとなっています。

PRステージには、牧之原市職員と、自然薯を提供した「尾白(おじろ)弁当」の尾白さんが登場。尾白さんからは、自然薯の名産地としての牧之原の背景や、静岡県が独自に育種した品種「静岡農試60号」について紹介がありました。この自然薯は白くきめ細やかで風味が豊かなことから、「山の貴婦人」として販売されています。自然薯は“山のうなぎ”とも呼ばれるほど栄養価が高く、滋養強壮や免疫力向上などの効果があるそうです。
とろろ汁の出汁は牧之原ではサバを使うことが多いそうですが、今回はマグロ節の出汁を使用しています。来場者からは「ポタージュで自然薯のイメージが変わった」「商品化してほしい」といった感想が寄せられました。
市の紹介では、360度に広がる茶畑が楽しめる「牧之原大茶園」や、絶景を望むティーテラス、特産のいちごやとうもろこし、サーフィンの国際大会も開催される日本初の大型ウェイブプール「静波サーフスタジアムPerfectSwell®」など、自然と食が豊かな牧之原市の魅力が紹介されました。
関連記事:自然薯の名産地・牧之原が誇る、静岡生まれの“粘り”の美味しさ

17時〜【静岡市】駿河湾の恵み桜海老のカナッペ 本山葵のヴィネグレット

3日目の最後を飾ったのは、静岡市のメニュー「駿河湾の恵み桜海老のカナッペ 本山葵のヴィネグレット」。イタリアのブルスケッタをイメージしたカナッペで、まさに今が旬の生の桜エビを茹で上げて使っています。静岡が誇る海の幸と山の幸(本山葵)のマリアージュが楽しめる一品です。
ヴィネグレットソースに使われている本山葵は静岡県産で、茎の部分をセミドライにして使用。「静岡水わさびの伝統栽培」は世界農業遺産に認定されており、静岡市葵区有東木(うとうぎ)はわさび栽培発祥の地として知られています。

PRステージには静岡市難波喬司市長が登場。静岡市は東京や大阪からのアクセスが良く、駿河湾の海と山の恵みが揃うまちであること、徳川家康ゆかりの史跡が数多くあることなど、観光資源の魅力が紹介されました。
この日はちょうど由比漁港で「由比桜えびまつり」が開催されており、難波市長も午前中訪れていたそうです。資源保護のため春と秋の年2回のみ漁が行われており、今年の水揚げは18回だったそうです。「駿河湾の宝石」とも言われる桜エビをぜひ味わってくださいと呼びかけました。

今回3日間を通して調理とサーブを担った学生たちは、「やりきったことがうれしい」「お客様の笑顔を見て疲れも吹き飛んだ」と達成感を語り、市長からも「将来のスターシェフの卵ですから、ぜひ活躍して欲しいですね」と温かいエールが送られました。