大阪・関西万博静岡県ブース「GEO KITCHEN SHIZUOKA」では、静岡の食の魅力を地理・地形、歴史、文化などによって生まれた食材や料理、その過程でかかわる生産者、料理人など、様々な角度からふんだんにアピールすることをコンセプトにしていますが、一番大切にしていることの一つは「味わうこと」。
ブースの最後のゾーン~ 静岡の食をより深く味わうイベント広場~ 「FOOD CAPITAL PARK」では、静岡県内各市町の食材を料理人の手によって料理に変えてご提供する計画があります。腕を振るうのは、10年前のミラノ万博にも静岡県を代表する料理人として参画した西谷文紀シェフ。今回は西谷シェフの万博への想いを伺ってきました。*西谷シェフは自らのことを「NORIです」とご挨拶され、周囲の方からもNORIさんと親しまれているため、本記事でもNORIさんとお呼びすることにします。
参加市町とオンライン打合せを行なう西谷さんシェフ(NORIさん)
10年前も今も変わらない想い
「富士山のあるまちでこんなに面白い、美味しい食べ物があるっていうのを知ってもらうきっかけに自分がなりたいなと思うんです。」とNORIさん。日本一高い富士の山、日本一深い駿河の海という表現は静岡県民にとっては耳なじみのある言葉ではあるが、それは地形に限ったことではなく、その自然が育む食材、そして料理にとっても魅力的だとNORIさんは言う。「静岡県の高低差を味わってほしい、10年前も今もその想いは変わらない。当時からぶれてない想いです。」
EXPO 2015 MILANO(ミラノ国際博覧会)でパフォーマンス
左から日本料理・一木さん、西谷さん、手打ちそば・田形さん
今食べられるうちに食べてもらいたいものもある
採れる季節が大きくずれてきたり、または採れなくなったりする食材が多いことは地球温暖化という切り口で語られ、日常の中で感じるものではあるが、それだけだけでなくNORIさんが指摘するのは「後継者問題」の側面もあるようだ。
「その人が辞めたら誰が継ぐのか、この人が作らなくなったら味わえなくなるという食材も多い。だからこそ、今食べられるうちに食べてもらいたいものもある。」
レストランに縛られないフードコンサルタントという立場
「ミラノ万博を経て、自分がやってきたことが間違いではなかったという実感につながったんです。だから料理人をやめて食のコンサル業にシフトしてもっと多くの食材を触りたくなったんです。」とNORIさんは語る。
レストランをやっていたらそれはできなかったか?と質問を投げかけてみたところ、料理人をしながらだと自分のレストランに縛られてしまうためなかなか難しいとのこと。さらにコンサルタントという立場だと、自分以外の第三者(クライアント)が課題を持っていて、“料理で解決策を提案する”必要がある。その課題と解決策を探求するジャーニーがレストランを構えているとなかなかできないことらしい。
長泉町都市ブランド「ちょうどいいが いちばんいい」を体感する「ちょうどいいフェスタ」(R5・長泉町)にて地元食材(四ツ溝柿、あしたか牛、わさび)を使用したメニューを考案
今回の取り組みを通じて静岡の方にも地元の良さを再発見してほしい
「地元にいる人が地元の良さを分かっていないことも多い。」大阪・関西万博静岡県ブースでのPRを通じてブーメランのように静岡県の方が静岡の食の魅力を再発見する、そんな機会にしたいとNORIさん。
食材と食材の組み合わせ方もNORIさんの魅力。実績とアイデアを武器に静岡県内各市町の魅力的な食材を料理に変える取り組みは静岡県の食の魅力を存分に感じていただけるだろう。
ぜひ、各市町とNORIさんの生み出す静岡の食の魅力メニューを静岡県ブースでお楽しみください。参加市町のメニューについては今後、こちらのウェブサイトでも公開予定です。どうぞお楽しみに。
試作中の料理のイメージ
西谷文紀氏(フードコンサルタント)プロフィール 静岡県焼津市生まれ。大阪辻調理師専門学校にて日本料理専攻卒業後、関西の日本料理店、イタリア料理店にて7年間修業を積む。1998年新たな刺激を求めイタリアへ。「Ristorante da Delfina」や「SADLER」などの星付きレストランにて4年間修業を積み、シェフたちの独創性やエンターテイメントに心を打たれる。帰国後神戸のイタリア料理店で料理長を務めたのち、独立を決意。2003年、静岡県藤枝市に「NORI」をオープンする。日本料理で培った素材を生かす繊細な技術と、イタリアで学んだ食の楽しさを融合し、旬の食材に拘ったオリジナル料理を追求する中で、静岡県の食の豊かさに改めて感銘を受ける。2020年、食をプロデュースする新たなプロジェクト「NORI and ERI」を立ち上げ、静岡県の食を世界に発信していく。 |