
静岡茶の呈茶(試飲)コーナーでは、3日間にわたって日替わりで10市町が登場し、それぞれの特色あるお茶を提供しました。ブース内には、県内のお茶産地の特徴を伝える「しずおか茶産地エリアマップ」も掲出され、来場者は味わいを楽しみながら、静岡のお茶の多様性を地理的にも実感できる構成となっていました。
1日目(6月6日(金))
川根本町

大井川上流地域で古くから緑茶の産地として知られる川根茶は、豊富な降水量と急斜面という自然条件が、流動する水を好む茶樹に適した「奇跡の地形」と言われています。全国茶品評会では16回の「産地賞」受賞歴を誇り、銘茶産地として高く評価されています。この日は、爽やかな香りと気品ある甘み・うまみが特徴の浅蒸し茶と、濃い緑の色味とまろやかな味わいが魅力の深蒸し茶の2種が提供されました。
掛川市


掛川茶ブランド委員会による最高級の深蒸し掛川茶「天葉(あまね)」の「さえみどり」「つゆひかり」をご提供。「さえみどり」は上品な香りでまろやかな口当たり、「つゆひかり」はコクと爽やかさが特徴です。試飲のほか、お茶とともに暮らす風景を紹介する「お茶と暮らし」のパンフレットも配布されていました。
菊川市

菊川市では市長と茶娘が来場者に呈茶を行いました。農林水産省の地理的表示(GI)保護制度と世界農業遺産「茶草場農法」に認定され、 GI登録と世界農業遺産を併せ持つお茶は世界で唯一「深蒸し菊川茶」のみです。水溶性ペクチンが豊富で渋みが少なく、まろやかな味わいが特徴です。桜の香りのするお茶も振る舞われました。
森町

昭和初期の浪曲「森の石松」の影響で「遠州森の茶」は全国に知られるようになりました。遠州の小京都とも呼ばれる風情ある町で、「健康長寿の里」として急須でお茶を飲む文化を推進。冷茶サーバーのほか、急須で淹れたお茶も提供され、甘みにほどよい渋みを併せ持つ上質な味わいが楽しめました。
2日目(6月7日(土))
浜松市

浜松市には春野・天竜・浜松の3大茶産地があり、山間地から平野部まで煎茶を中心に多彩な茶が育まれています。霧深い山で育つ「春野茶」、日差し豊かな三方原台地の「浜松茶」、天竜川流域の自然に育まれた「天竜茶」がそれぞれ提供されました。
藤枝市


藤の里観光大使と藤枝茶娘が登場。
玉露の三大産地のひとつ・朝比奈地区で育まれる「朝比奈玉露」は、濃厚なうまみに加え、海苔のような“覆い香”が特徴です。また、「サッカーのまち」である藤枝市ならではの取り組みとして、漫画『キャプテン翼』とコラボレーションした缶入り茶「茶プテン翼cha(ちゃぷてんつばちゃ)」も披露され、注目を集めました。
富士市

茶娘によって振る舞われたのは「富士のほうじ茶」。爽やかな香りとすっきりした後味で飲みやすく、渋みの少なさが特徴です。富士市では新たな切り口から茶業界を盛り上げるため、令和3年に「富士市ほうじ茶宣言」を発表。まち全体で“ほうじ茶の香りがするまちづくり”を進めています。
島田市

島田市では、カネス製茶のボトリングティー「IBUKI」と「KOUSYUN」が登場。
「IBUKI」は、20年以上かけて開発された希少茶葉「金谷いぶき」を使用し、煎茶らしい青々しさと焙煎香が調和した風味が特徴。「KOUSYUN」は、品種茶「香駿」を使用し、フルーツのような華やかな香りと、海苔のような旨み、爽やかさ、ほどよい苦味が特徴です。高級茶を飲み比べる貴重な体験に、多くの来場者が魅了されました。
3日目(6月8日(日))
袋井市

袋井市からは、太陽の恵みと澄んだ空気の中で育まれた「ふくろい茶」と、袋井市にしかない希少な白葉茶「きら香(きらか)」をご提供。「きら香」は一番茶の時期だけ白い芽が出る珍しい特性を持ち、旨み成分のアミノ酸が豊富で、苦味成分であるタンニンが少ないことから、甘みの強さが最大の特徴のお茶です。
沼津市

富士山の南、愛鷹山麓(あしたかさんろく)に位置する茶産地で育まれる「沼津茶」。蒸し煎茶、ぐり茶(蒸し製玉緑茶)など茶種は様々で、生産者ごとに個性があるお茶を作っています。温暖な気候で育てられたお茶は香り高く、過去には「皇室献上茶」にも選ばれた実績があります。
地図で見る静岡茶の産地の個性

コーナーの一角には、静岡県内の茶産地の個性をわかりやすく紹介する「しずおか茶産地エリアマップ」を掲出しました。試飲とあわせて産地ごとの地理的背景にも触れることで、静岡茶の奥深さを実感していただけたのではないでしょうか。